旭川は皆様ご存知のように、北海道のヘソ(地図の上でど真ん中)に位置し、夏は30度冬はマイナス20度と盆地独特の気候でございます。
文学では、三浦綾子の描いた「氷点」の舞台の地です。外国樹種見本林を舞台に文学の枠を超え多くの人々を魅了したデビュー作「氷点」は、夏の見本林にはじまり冬の見本林で幕を閉じます。「思ったほど新雪はない。しかし林の中の雪は深かった。膝まで埋まる雪の中を陽子は一歩一歩、歩いて行った。時折音もなく木の上から、雪がはらはらと散った。雪を吹き付けられて、片側だけが白い松の幹に陽子は歩きなやんで手をかけた。」
償いのための死を決意した主人公の陽子は、純白の積雪を踏み越え、林を抜けて美瑛川のほとりに出ます。壮絶と言えるまでの美しさで描かれた旭川の凛冽な自然、そして陽子の痛々しいほどの姿は、多くの人々の涙を誘い心に強い感動を刻みました。夏とはまた違った静けさに包まれる冬の見本林。純白のジュウタンの上に立ち並ぶ樹々の中で、三浦文学の雪の匂いを感じることができます。
また、北海道のスキー発祥の地でもあります。オーストリアから明治44年に来日したテオドール・フォン・レルヒ中佐は、新潟県に滞在した後、翌年2月に旭川の第7師団を訪問した際、演習場のあった春光台の丘をゲレンデにして熱心にスキーの指導を行い、その後、レルヒの教え子達が旭川をはじめ各所でスキークラブを誕生させ、やがて全道にスキーが拡がっていきました。北海道スキー発祥の地、旭川はそんな雪の匂いの発信源でもありました。
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